ドライバーに必要な資格とは?必須資格とキャリアアップに役立つ資格を紹介

ドライバー

ドライバーは、物流や旅客輸送を通じて、暮らしを支える大切な仕事です。ドライバーになるためには運転免許が必須ですが、トラックやタクシー、バスなど、運転する車両の種別や大きさなどによって、必要な免許の種類は変わります。この記事ではドライバーにとって必須の免許や、転職・キャリアアップで有利にはたらく資格を紹介します。

トラックドライバーに必須の資格

トラックドライバーに求められる免許の種類は、最大積載量(運転する車両に荷物を積める量)と車両の総重量によって変わります。ここでは、トラックドライバーとして働くために必須となる免許の種類を紹介します。

普通自動車運転免許

普通自動車運転免許は、乗用車はもちろん、1.5トントラックや商用バン・軽貨物車など、最大積載量が2トン未満かつ車両総重量が3.5トン未満の車両を運転できる免許です。後ほど紹介する、大型免許や第二種免許を取得するためにも必須となる免許なので、ドライバーを目指す方は取得しておいて損のない免許でしょう。

AT限定の場合でも、限定解除の審査に通ればMT車も運転できるようになります。ただし、2トントラックは2017年3月12日以降に取得した普通自動車運転免許では運転できないのでご注意ください。

普通自動車運転免許を取得するための条件や費用・期間についても確認しておきましょう。

・年齢…満18歳以上

・免許取得までの期間の目安…通学の場合、2~3ヶ月(最長9ヶ月)

・費用の目安…約30~45万円(地域や教習プランによって異なる)

準中型自動車運転免許

準中型自動車運転免許は、2トン・3トントラックや小型のダンプカー、ミキサー車の運転で必須の免許です。最大積載量が2トン以上4.5トン未満、かつ車両総重量が3.5トン以上7.5トン未満の車両を運転できます。

準中型自動車運転免許は、普通自動車運転免許がなくても取得可能です。ドライバーへの転職を検討している人は、準中型自動車運転免許を選べば仕事の幅が広がるでしょう。準中型自動車運転免許の取得条件も紹介します。

・年齢…満18歳以上

・免許取得までの期間の目安…3~4ヶ月(普通自動車運転免許より8~11時限長い)

・費用の目安…約40~45万円(地域や教習プランによって異なる)

また、普通自動車運転免許を持っている人は、所定の技能・学科講習を受講すれば、上記の期間よりも短く費用を抑えて、準中型自動車運転免許を取得できます。

中型自動車運転免許

中型自動車運転免許は、4~6トンクラスのトラックやゴミ収集車(塵芥車・パッカー車)・給水車などの運転で必須の免許です。最大積載量が4.5トン以上6.5トン未満、かつ車両総重量が7.5トン以上11トン未満の車両を運転できます。マイクロバスなど、乗車定員29人以下の車両も運転可能です。

中型自動車運転免許を取得するには、普通免許または準中型免許を取得した後、通算2年以上の免許期間が必要です。教習期間の目安は1~2ヶ月、免許取得にかかる費用の目安は15〜25万円です。大型自動車運転免許

大型自動車免許は、7.5トン以上の大型トラックやトレーラー、タンクローリーなどの運転に必須の免許です。最大積載量6.5トン以上の車両や車両総重量11トン以上の車両、乗車定員30人以上の大型バスも運転できます。大型特殊自動車と二輪車以外の、あらゆる車両を運転できるのが特徴です。

大型自動車運転免許を取得するには、普通自動車・準中型・中型いずれかの自動車運転免許を取得した後、通算3年以上の免許期間が必要です。すでに普通免許を持っている方であれば、教習期間は3~4ヶ月、免許取得にかかる費用は約37~45万円です。

タクシードライバーに必須の資格

タクシードライバーに必要な資格は、普通自動車第二種運転免許です。ただし、国土交通大臣が指定する地域でタクシードライバーになるには、地理試験に合格する必要があります。ここではタクシードライバーに必須の資格を紹介します。

普通自動車第二種運転免許

普通自動車第二種運転免許は、タクシーや小型バスに有料で旅客を乗せて運転するために必要となる免許です。普通自動車第二種運転免許の受験資格は21歳以上で、普通・準中型・中型・大型・大型特殊、いずれかの自動車免許を取得してから通算3年以上の免許期間が必要となります。

普通自動車第二種運転免許の教習期間は約2~3ヶ月前後、免許取得にかかる費用は約25~30万円です。なお、運転代行のドライバーになる場合にも、普通自動車第二種運転免許が必須となります。

地理試験

東京や大阪などの指定地域でタクシードライバーになるには、地理試験に合格する必要があります。タクシードライバーは、乗客を安全かつスピーディに目的地へと送り届ける必要があるため、営業エリア内の地理に詳しくなければいけません。

地理試験では道路や交差点、有名な建物・公園や駅などの名称の他に、目的地までの最短ルートなど、地理的な知識が出題されます。

過去問題集を提供しているタクシーセンターやタクシー協会もあるので参考にしてみてください。また、地域によっては、新たにタクシードライバーになる場合に、2~4日間の研修受講が必須となる場合があります。受講料は6,000円~6,800円程度です。

バスドライバーに必須の資格

バスドライバーに必須の資格は、運転するバスの大きさ・定員や運賃の有無によって異なります。ここでは、バスドライバーになるために必要な免許を紹介します。

普通自動車運転免許

乗車定員が10人以下かつ車両の総重量が3.5トン未満の小型バス(3ナンバー・5ナンバー・7ナンバーの車両)であれば、普通自動車運転免許で運転が可能です。また、後ほど紹介する大型自動車第二種運転免許を取得するためには、普通自動車運転免許の取得が必要です。

大型自動車第二種運転免許

大型自動車第二種運転免許は、以下の条件をひとつでも満たすバスを運転して、旅客から運賃を受け取る場合に必要となります。

・乗車定員が30名以上

・最大積載量が6.5トン以上

・車両の総重量が11トン以上

主に、路線バスや高速バス、貸切バス、観光バスが当てはまります。

大型自動車第二種運転免許の受験資格は21歳以上で、普通・準中型・中型・大型・大型特殊いずれかの自動車免許を取得してから通算3年以上の免許期間が必要です。

すでに普通自動車運転免許を取得している方を想定すると、教習期間は3~4ヶ月、免許取得にかかる費用は40~60万円程度となります。

送迎バスはバスの大きさによって必要な免許が異なる

商業施設や幼稚園、学校、病院などの送迎バスは、旅客から運賃を受け取らないため、第二種免許の取得は必要ありません。バスの大きさに見合った区分の免許(第一種免許)で運転できます。旅客を乗せずに回送する場合も同様です。

免許の区分乗車定員車両総重量
普通自動車運転免許10人以下3.5トン未満
準中型自動車運転免許10人以下3.5トン以上7.5トン未満
中型自動車運転免許29人以下7.5トン以上11トン未満
大型自動車運転免許30人以上11トン以上

あると重宝される資格

ドライバーとして必須の資格ではないものの、取得しておけばキャリアアップに役立つだけでなく、仕事上でも有利な資格がいくつもあります。ここでは、持っていると職場で重宝される資格を紹介します。

けん引免許

けん引免許とは、車両総重量が750キログラムを超える車両をけん引して運転する際に必要な免許です。別途、けん引する自動車に対応した区分の運転免許も必要になります。

けん引免許は、大量輸送を担うトレーラーの運転で重要な資格です。近年では、10トントラックを2台連結したダブル連結トラックの導入が進んでおり、その運転にもけん引免許が求められています。運輸業界の人手不足が課題になる中、キャリアアップに有効な資格としても注目されており、賃金面でも優遇される可能性があります。

大型免許を持っている人の場合は、12時間程度の教習を受けた後に、運転免許試験場での試験への合格が必要です。けん引免許の取得にかかる費用は、15~20万円前後です。

けん引しながらの運転には高い技術が求められるため、大型トラックで運転経験を積んだ後にけん引免許を取得する人が多いです。

玉掛作業者

玉掛けとは、クレーンを使って荷物の積み下ろしを行う際に、ワイヤーロープなどの用具を準備したり、フックの着脱を行ったりする作業です。ドライバーが玉掛け作業を担当する場合もあるため、建設業界や鉄鋼業界のトラックドライバーにとって、玉掛けの資格は必須とされています。

玉掛けの資格を取得するには、玉掛け技能講習を受講する必要があります。18歳以上の人が受講対象で講習期間は3日程度、資格取得の費用は3万円前後です。

玉掛けの経験があれば、建設業や製造業など他の業種でもキャリアを活かせるでしょう。

フォークリフト運転技能者

フォークリフト運転技能者とは、フォークリフトを使って荷物の積み下ろしを行う際に必須となる資格です。トラックへの積み下ろしをドライバーに任せている荷主も多く、ドライバーとしての付加価値にもつながっています。工場・倉庫内での作業などで、トラックドライバーを引退した後も活用できる資格です。

フォークリフト運転技能者の資格を取得するには、フォークリフト運転技能講習を受講する必要があります。18歳以上の人が受講対象で講習期間は4日程度、資格取得にかかる費用は5~6万円前後です。

危険物取扱者

危険物取扱者とは、一定数量以上の危険物を取り扱う施設で、配置が義務づけられている国家資格です。タンクローリーで石油などの危険物を輸送する場合は、ドライバー自身が危険物取扱者の資格を持っているか、有資格者が同乗することが消防法[1] で義務づけられています。

危険物を取り扱う運送会社はもちろん、ガソリンスタンドや工場など、幅広い業種で活用できる資格です。

危険物取扱者の資格は丙種・乙種・甲種の3種類で、丙種・乙種は誰でも受験できます。乙種資格は第1類から第6類までの6種類に区分されていますが、ガソリンや灯油などの引火性液体を取り扱う乙種第4類を受験する人が多いです。

危険物取扱者の資格を取得するには、危険物安全協会の試験準備講習を受講し、学科試験に合格しなければいけません。乙種の試験手数料は1科目あたり4,600円、試験準備講習の受講料は10,000~15,000円前後が目安になります。

運行管理者

運行管理者とは、トラックやタクシー、バスなどの事業用自動車の安全な運行を確保するために、営業所ごとに最低1名以上の配置が義務づけられている国家資格です。具体的には、内勤としてドライバーの健康管理や乗務記録の管理、安全運転に関する指導などを実施します。管理職へのキャリアアップにも有効な資格です。

運行管理者試験の種類は貨物・旅客の2種類に分かれており、営業用自動車の運行管理を1年以上行っていれば受験できます。ただし、独立行政法人自動車事故対策機構などが実施する基礎講習を修了すれば、実務経験が1年未満でも受験可能です。

受験手数料は6,660円(新規受験者の場合)、基礎講習を受講する場合は別途8,900円の受講料がかかります。

整備管理者

整備管理者とは、自動車の点検・整備や、車庫の管理を担当する専門職です。車両の整備・管理を通じて、ドライバーの安全運行に貢献できるのが特徴です。

整備管理者として選任されるためには、自動車の点検・整備に関する2年以上の実務経験と、運輸支局で実施する選任前研修の修了が必須です。

自動車の点検・整備に関する実務経験が1年以上あれば、三級自動車整備士試験に合格した後に整備管理者となる資格が得られます。選任されるための手数料はかかりませんが、三級自動車整備士試験を受験するためには受験手数料7,200円がかかります。

資格は応募の段階で保有していた方がいい?

ここまで、トラック・タクシー・バスのドライバーになるために必要な免許とキャリアアップに有利な資格を紹介してきました。近年では、ドライバー不足が企業の経営課題になっていることもあり、普通自動車運転免許を持っていれば、応募を受け付ける企業が増えています。

また、大型免許や二種免許などの資格取得支援制度を設ける企業も増加しており、資格取得にかかる費用の全額もしくは一部を会社が負担してくれるため、働きながらでも資格取得を目指せます。ただし、資格取得支援制度の内容や条件が企業によって異なるため、応募する際には採用担当者に確認するようにしてください。

【まとめ】免許や経験がないからといって諦めないで!

ドライバーの求人は、普通自動車運転免許を持っていれば未経験でも応募できる企業が多いです。仕事中は運転がメインとなるため、他人とのコミュニケーションに気疲れしてしまうことなく、自分のペースで働けるのも魅力。資格を取得すればドライバーからステップアップすることもできるため、将来性もある仕事です。免許や経験がないからといってあきらめず、ドライバー職にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

文責 働きやすい職場のミカタ編集部

※記事中に記載の費用等の金額は2022年12月時点のものです。

*1 出所)埼玉県警察「準中型免許と運転可能な車種について」

https://www.police.pref.saitama.lg.jp/f0110/menkyo/tyuugata.html

*2 出所)国土交通省 報道発表資料 平成27年9月30日「タクシー運転者登録制度を全国に拡大します~主な政令指定都市から全ての地域へ~」

https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000211.html

*3 出所)警察庁 第二種免許等の受験資格の見直しについて(令和4年5月13日)

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/jyuken_tokurei.html

*4 出所)公益社団法人自動車技術会 日本の自動車技術330選 いすゞ 大型観光バス ガーラ

https://www.jsae.or.jp/autotech/2-10.php

*5 出所)北海道警察 準中型自動車・準中型免許

https://www.police.pref.hokkaido.lg.jp/info/koutuu/menkyo/jyun-chu-menkyo.html

 

働きやすい職場認証制度とは?

 

「働きやすい職場認証制度」は、自動車運送事業者(トラック・バス・タクシー事業)の運転者の労働条件や労働環境を第三者機関が評価・認証する制度です。

 

[1]法令遵守等、[2]労働時間・休日、[3]心身の健康、[4]安心・安定、[5]多様な人材の確保・育成、[6] 自主的、先進的な取組み(一つ星認証では参考)の6分野について、基本的な取組み要件を満たすことにより認証されます。

働きやすい職場認証制度
オフィシャルサイト
公式インスタグラム
「働きやすい職場認証制度」認証マーク

「働きやすい職場認証制度」
認証マーク

関連記事

TOP