大型トラックの運転は怖い?安全運転のコツとポイント、練習方法を紹介します!

ドライバー

街中や高速道路などで見かける大型トラックを、自分で運転してみたい、大型トラックを運転する仕事に就きたいと思ったことのある人もいるでしょう。ただ、その大きさゆえに、「大型トラックの運転は怖いのではないか」と不安に感じることもあるかもしれません。

確かに、大型トラックには大型トラック特有のクセや気を付けるべきポイントなどはあります。ただ、しっかり注意を払いながら練習すれば乗りこなすことは決して夢ではありません。この記事では、大型トラックの安全運転のコツやポイント、適切な練習方法などを紹介します。

大型トラックの運転は怖い?

普段軽自動車や普通車などを運転していても、いきなり大型トラックを運転するとなれば、つい怖気づいてしまう人もいるでしょう。ただ、大型トラックを運転するうえでのポイントを整理し理解しておけば、自然と大型トラックを運転することへの恐怖心が緩和できるでしょう。

ここでは、まず大型トラックの運転が怖いと感じてしまわれやすいポイントを紹介します。

普通自動車より圧倒的に大きいから

まず、大型トラックと普通自動車との最大の違いは、車体そのものの大きさです。大型トラックは全幅が広く、車高が高く、全長も長いので、普通自動車と同じ感覚で運転すると非常に危険となるシチュエーションがいくつかあります。とくに、全長が長いことでの内輪差の増大が、右左折時に巻き込みや接触などの事故を引き起こしやすくなる要因となります。また、駐車時や入場時などにバックで進入する際も、全長が長いと切り返しのタイミングが変わってくるため、注意が必要です。

さらに、ただ道路を走る場合でも大型トラックの全幅の感覚がつかめていないと、接触事故や無理な幅寄せによる事故を引き起こしかねません。大型トラックとはどのような大きさなのかをしっかりと把握し自覚することが肝要です。

MT車が多く、エンジンやブレーキも普通車と違う

大型トラックは、重たい荷物を乗せたままでも安定した走行を実現するために、多くの車種がMT(マニュアルトランスミッション)車となっています。MT車は、積んでいる荷物や路面状況によって適宜シフトチェンジできることから、大型トラックで採用されやすいのです。

また、エンジンやブレーキも普通車とは異なる仕組みが採用されています。 特にブレーキは普通車のようなフットブレーキに加え、長い下り坂で活躍する排気ブレーキが搭載されています。

普通車より死角が多い

大型トラックの走行時もしくは停車時に気を付けなければならないポイントの一つに、運転席から見えない「死角」が普通車よりも多いことが挙げられます。その中でも、危険性が高い、大型トラック特有の死角が前方と側面です。

前方は、車高が高い分運転席も高い位置にあるため、道路状況を見通しやすくなっています。他方で、車体のすぐ近くは死角となり見えません。サイドミラーにより、ある程度は目視できますが、サイドミラーも完全ではないため、とくに発進時には注意しましょう。

側面は、右側面であれば運転席側なので、窓から顔を出し確認することも可能です。しかし、左側面はそれができない場面も多いでしょう。特に、すり抜けしてきた自転車やバイクがサイドミラーでも見えずに、そのまま左折し巻き込み事故が起きてしまうことがあります。左折時は、より慎重に周囲の状況を確認し曲がるようにしましょう。

思ったより怖くない?大型トラックが運転しやすい理由

目線が高く視野が広い

大型トラックは公道を走る車の中でも車高が高い部類に入ります。実際に運転席に座ってみると、普通車の屋根が見えるほどの高さです。そのため、複数車線がある国道や高速道路上でもほかの車線の状況が把握しやすいため、走りやすく感じられます。

また、ほかの車の速度や車線変更などの動きがつかみやすく、いざというときの反応も普通車に比べると取りやすいことも安心感につながります。

ノーズ(車の先端)が短い

普通車と比べて、大型トラックのノーズ(車の先端)は短いです。ノーズが短いことで正確に車間距離を把握することができ、前方車両に衝突する可能性も減少します。また、塀やガードレールなど、車体をこすりやすい障害物も避けやすいため、右左折時や駐車時にも運転のしやすさを実感できるでしょう。

さらに、カーブミラーのない見通しの悪い交差点や丁字路などでも、ノーズが短いので事故を回避しやすいのも大きなメリットです。

大型トラックの安全運転のポイント

普通車を運転するときでも、安全運転を行うために気を付けるポイントはいくつかあります。これに加えて、大型トラックを運転する際には、大型トラック特有の気を付けるべきポイントをしっかりと意識して運転しなければなりません。普通車と同じように大型トラックを運転すると、自分のみならずほかの車や歩行者などにも危険となる場面がいくつもあることを自覚しておきましょう。

ここでは、大型トラックを運転する際の安全運転のポイントについて解説します。

カーブでの内輪差に注意!

内輪差は、右左折時にフロントタイヤ(前輪)の軌道よりも、リアタイヤ(後輪)の軌道が内側に入ることで発生する前後輪の軌道の差を指す用語です。四輪車では必ず起きる現象ですが、前輪と後輪の中心間の距離(ホイールベース)が長ければ長いほど差が大きくなります。

大型トラックは、その車格からホイールベースが普通車よりも長くなるため、その分内輪差も大きくなります。このため、普通車と同じ感覚で右左折した場合、予想以上に後輪が内側に入ってしまいます。そして、これが歩道への乗り上げやガードレールに車体を擦るなどといった軽微な事故から、歩行者、自転車、バイクなどを巻き込み重大な人身事故を引き起こす要因となるのです。

事故を避けるためにも、まずは右左折時にミラーをしっかり確認し、とくに後輪がどのような軌道を描くのかを把握しながら慎重に曲がるようにしましょう。また、内輪差がどのくらいあるのかを早い段階で把握することが肝要です。常に、リアタイヤがどのように曲がっていくのかを頭でイメージしながら右左折をすることを心がけましょう。

車体重量が重い分、慣性の法則が働く!

基本的に大型トラックを運転する際には、積荷の影響もあって総重量が重くなっています。この状態だと、いわゆる「慣性の法則」が普通車よりも強く働きます。つまり、減速や停車がすぐに行えないということになり、普通車の感覚でブレーキングするのは危険です。早め早めの減速行動を心がけつつ、場合によっては排気ブレーキやエアブレーキなどといった補助ブレーキも使用しましょう。

ただ、補助ブレーキは強力な制御力がかかる装置なので、荷物を積んでいない状態ではかえってブレーキが利きすぎて危ないといったこともあり得ます。今運転しているトラックの総重量がどうなっているのかを常に把握して運転するようにしましょう。

横風の影響を受けやすい

大型トラックは、強風や突風の影響を受けやすい車種です。台風や暴風雪などの悪天候時はもちろんのこと、好天でも橋の上や海沿いなどでは、思いもよらない突風が吹き付けることがあります。ニュースや天気予報で取り上げられることもある「瞬間風速」は、平均風速の約1.5倍の強さがあり、これが大気の状態が不安定な環境だと約3倍にまで上がります。*1

特に強風や突風の影響を受けやすいのは、全長が12m級の空荷のアルミバンです。全長が長く、かつその割に総重量が軽い状態の大型トラックは、重心が高くなるため風で横転しやすい状態になっています。

横転を避けるためには、ハンドルをしっかり握り、車体のバランスを保つことに努めながら、できる限りスピードを落として走行するようにしてください。悪天候で強風になっているのであれば、天候が回復するまで待機することも視野に入れましょう。横転だけでなく、飛ばされた看板や屋根の一部などが衝突する危険性もあります。

シフトチェンジに気を付けよう

先述したとおり、大型トラックでは適時シフトチェンジを行ったほうが走行しやすい場面が多く、さらに燃費もよくなるため、MT車がまだまだ人気となっています。このシフトチェンジも、普通車とは注意すべき点が異なります。

シフトアップする際に、もっとも注意すべきなのはゆっくりと行うという点です。大型トラックのエンジンは、回転数が下がりにくいため、十分に下がりきらないままシフトアップを行うと、クラッチをつなぐ衝撃が大きくなり、車体の揺れが大きくなってしまいます。

また、シフトダウンの際には補助ブレーキを活用して回転数を下げると、スムーズに行えます。フットブレーキの多用は、回転数が下がりにくく、なめらかなシフトダウンが難しいので気を付けましょう。

オーバーハングにも注意

オーバーハングとは、タイヤから車体がはみ出している部分の総称のことです。長い荷台やトレーラーを連結して走行することが多い大型トラックは、オーバーハングしていることがよくあります。この状態で、気を付けなければならないのが右左折時です。自分では、問題なく曲がれていると感じていても、後方のオーバーハングしている部分が、反対車線にはみ出してしまうことがあります。最悪の場合、走行もしくは停車している対向車や自転車などに衝突してしまうこともありえるのです。

右左折時は、内輪差に注意するのと同じく、オーバーハング部分にも気を払いながら慎重に行いましょう。とくに、左折時にはできるだけ左側に寄せてから左折すると、飛び出す可能性を減らせます。

スピードの出しすぎに気を付けよう

大型トラックは運転席が普通車よりも高い位置にあるため、視野が広い状態で運転することになります。視野が広いと、スピードがどれくらい出ているか正しく判断することが難しくなり、ついスピードを出しすぎてしまうことがあります。

普通車を普段運転する機会が多い人だと、なおのことその違いを感じることが多いかもしれません。法令と道路状況に合わせたスピードで走行するには、やはりスピードメーターを適宜確認することが一番の対処法です。

車間距離の詰め過ぎはNG

先述したとおり、大型トラックはノーズの短いことが特徴です。ノーズが短いと、知らず知らずのうちに前の車との車間を詰めてしまうことがあります。

大型トラックに限ったことではありませんが、前方車両との車間距離は適切に保ちましょう。車間距離が狭ければ狭いほど、前方車両の急ブレーキに対応できず、衝突事故が起きてしまう可能性が高まります。さらに、車間距離を詰めることは、前方車両が「あおり運転されている」と勘違いしてしまうこともありえます。あおり運転が厳罰化された昨今では、あおり運転はもちろんのこと、勘違いされるような行動も避けるべきです。不用意に車間距離を詰めてしまうと、無用なトラブルや事故などを引き起こしかねないことを意識して走行しましょう。

大型トラック運転のコツとは?

大型トラックの運転にはいくつかコツがあり、これらをつかむことができれば運転がぐっと楽になり、より安全運転で走行できるでしょう。ただ、慣れないうちは、できる限り経験者に付き添ってもらいながら練習することが望ましいです。ここからは、すぐに実践できる大型トラック運転のコツを紹介します。

右左折のコツ

大型トラックの運転で、危険が伴うもののひとつが右左折です。とくに左折は、内輪差やオーバーハングなどによる接触事故が起きやすく、慎重な運転が求められます。コツとしては、ある程度交差点内で直進した後、すばやくハンドルを切ってゆっくり曲がることが挙げられます。また、交差点内が狭い場合は、曲がり切れる程度にまず右に膨らんでスペースを確保してから曲がるようにしましょう。

右折の場合は、左折のような巻き込み事故の可能性は低いですが、交差点で右折待ちしている対向車にオーバーハング部分が接触するおそれがあります。右折の前に、車線からはみ出さない程度に左に膨らんでから曲がると安全に曲がりきることができるので、意識して右折するようにしましょう。

バックや方向転換のコツ

右左折よりも難しいと感じる人も多いのがバックや方向転換です。大型トラックの車両感覚をその都度把握して行うことが難しい上に、アルミバンや冷凍車などはバックミラーを利用することができないため、後方確認しながらの運転が困難を極めます。

方向転換の際の基本的なコツとして挙げられるのが、まずバックしようとする際に、後輪をできる限り方向転換するスペースの角に寄せることを意識しながら行うというものです。左からバックする際は、左の後輪を左の角に寄せながらバックするという具合です。むしろ、これを行わないと、バックまではうまくいったとしても、いざ反対方向に出ようとしたときに、スペースがなく車体を接触させてしまうことがあります。

接車(ホーム付け)のコツ

接車(ホーム付け)とは、物流センターや工場のトラックヤードなどのホームに、トラックを駐車させることです。基本的に、積荷を荷下ろしもしくは積み込みするために、後ろのドアを開けてバックで駐車します。接車の難しいところは、前方が狭い場所で、止めようとしているスペースの両隣にトラックが既に駐車されている場面です。少しでもどちらかに偏ってバックすると、ミラーが接触し大事になる可能性があります。

接車のコツは、トラック車体をほかのトラックに対し平行に、ホームに対しては垂直になるようにバックすることです。なるべく角度を付けずに入ることで、内輪差やオーバーハングの危険性を減らすことができます。ハンドルを切るのが早くても遅くても平行には入らなくなるので、慎重に動きながら調節して入れるようにしましょう。

坂道運転のコツ

大型トラックで坂道発進・走行する際にはいくつかのポイントに注意を払う必要があります。まず、上り坂でいわゆる「坂道発進」をする際、MT車であれば停車時にサイドブレーキをしっかり引いて停車しておくことが肝要です。その後、発進するときにギアを入れてクラッチとアクセルを同時に操作して半クラッチの状態が確認できれば、サイドブレーキを慎重に解除してクラッチをつなぐとうまく発進できます。この工程のうち、どこかがうまくいかなければ、上り坂で車体が後ろに下がったり、クラッチをつなぐ反動で車体が揺れ積荷が崩れたりするおそれがあります。

一方で、下り坂で気を付けるべきポイントは、スピードの管理です。通常、大型トラックにはリミッターが装着されているため、時速90km以上は出ないようになっています。しかし、下り坂では下り坂の勢いがついてしまい、リミッターを超えた速度が出てしまうことがあります。下り坂では、フットブレーキだけでなく、補助ブレーキも使用しスピードの管理を徹底しましょう。

車庫入れのコツ

車庫入れは、接車の際のコツと同じくあまり角度を付けずに入れるのがポイントです。ただ、接車の場合多くは私有地内での運転となりますが、車庫入れは場合によって一般道から直接車庫に入れなければならないシチュエーションもあります。通行する車やバイク、歩道にいる歩行者など危険が多いため、まずハザードランプをつけてこれから車庫入れすることを周囲に知らせつつ、安全が確認できてから焦らず車庫入れを行うようにしてください。可能であれば、誘導してもらえる人を呼んでから車庫入れするのが確実です。

大型トラックの練習方法は?

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大型トラックの運転を練習する方法はいくつかあります。自分にとって、上達につながりやすい効果的な方法を組み合わせて練習することが、運転に自信が持てる近道となるでしょう。ここでは、おすすめの練習方法を紹介します。

動画などでシミュレーションしてみよう

近年ではYouTubeやTikTokなどのSNSで、大型トラックの運転にまつわる動画が多数アップロードされています。

現役のトラックドライバー、教習所、メーカーなど信頼できる個人や機関などがアップロードしている動画もあり、解説と実演で非常にわかりやすいものが数多く見つかるでしょう。これを視聴して自宅でイメージトレーニングしてみると、実際に乗って運転する際の手助けとなるでしょう。

先輩の隣(横乗り)で学ぼう

運送業や建設業など大型トラックが必要な業種では、新入社員や中途採用の社員はまず先輩や上司の運転する大型トラックの隣に乗って(横乗り)、運転を含めた業務を覚えることも多いでしょう。

入社したばかりでまだ大型免許を持っていない場合はもちろんのこと、免許を持っていてもまだ取得して日が浅かったり業界での経験に乏しかったりする際には、このような横乗りでの研修が行われることが大半です。横乗りさせてもらっている間に、大型トラックの運転はどのように行うかを見て聞いて覚えるという研鑽を重ねることは効果的です。

教習所や免許センターで練習しよう

大型免許取得のための教習を行っている教習所では、ペーパードライバー講習と称して免許取得後も練習できるコースを設定しているところがあります。値段や内容は教習所によって異なりますが、多くの場合1時間単位で教習料金を設定しています。また、免許センターでも似たようなペーパードライバー向けの教習を受けられるところがあります。

料金はかかりますが、やはり実車での練習に勝る効果的な練習方法はありません。さらに、指導員が同乗してポイントとなる点やミスなどをその都度教えてもらえるため、すぐに改善して練習に取り組むことができるのも大きなメリットです。

車両感覚をつかむための練習方法

車両感覚をつかむためには、実車での練習が一番大切です。教習所や免許センター以外で実車に乗る手段としては、会社の大型トラックもしくはレンタカーを借りるというものがあります。そして、練習しても問題なさそうな広めの敷地や駐車場を手配し、基本的な運転動作をひたすら反復し身体に覚えこませるといった方法が有効です。

練習の際には、付き添ってもらえる人がいれば依頼して、車庫入れや方向転換などで誘導してもらいながら車両感覚をつかむことも行いましょう。一人で行う場合は、適宜車から降りてハンドルの切り具合でどのくらい曲がるのか、ミラーの見え具合と実際の距離感はどのようなものなのかなどを確認するようにしましょう。

大型トラック運転のコツを身につけよう!

大型トラックは、普通車と異なる点がいくつもあるため、運転の際には大型トラックの特性に合わせた運転技術が求められます。ただ、注意点に気を付けて運転すれば、決してできないというわけではありません。動画やペーパードライバー講習などで練習しながら、安全第一で運転することを心がけておけば、一人前のトラックドライバーになれる日もきっと訪れます。

分からないことや難しいと感じる箇所は、適宜調べたり先輩や指導員などに聞いたりしながら、大型トラックの運転に挑戦してみてください。

文責:働きやすい職場のミカタ編集部

*1

出所) 気象庁「気象と気象用語」URL:https://www.jma-net.go.jp/matsuyama/publication/tenko/tenko202010.pdf

 

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